「アイディア1%・つくる9%・売る90%」
企業においては「企画力」、官公庁では法律や条令をつくったりする「政策形成」が「企画」の範疇に入ると思いますが、そもそも企画とはどういうものでしょうか。企画は、決して特別なものではなく、あらゆる方が日常の中でしていることです。たとえば「こんなものがあったらいいな」「こうしたいな」ということを実行に移す際には、必ず企画を立てているといえます。企業での企画の仕事の中では、アイデアがひらめくということは、全体の1%くらいを占めているに過ぎません。そのひらめきをベースに、お金を使ったり、自分で汗を流して商品なり販売促進プランなりをつくり上げていくプロセスは9%くらいです。ですから実際のところ、アイデアからつくるところまでは、全体の1割くらいしかないのです。
ではあとの9割は何か。たとえば企業でつくった製品をどうやって売るか。官公庁なら、新しい公民館や条例をどうやってみんなに知らせるか。そのプロセスが90%なのです。
ですから「○○を考えました」ということについては、私はほとんど価値を感じません。企画を「思いついた」レベルと、それを実現させるレベルでは、しんどさが段違いに違うのです。ただし、企画の一連のプロセスには、技術的に解決できる部分があります。それを身につけていただくのが企画力研修です。参加していただいた皆さんの「こんなものがあったらいいな」を、具体化する方法をお伝えする内容になっています。
発想力はトレーニングで鍛えられる
発想を出していくには、いろいろなものを見て考えることが大切です。素振りの練習のようなものです。たとえば、道を歩いていて、はやっていない店も見たら、それをどうやってはやらせるか、その場で考えてみることです。企画を立てる練習においては、そういうつまらないことを一生懸命やってみることが重要です。はやっていないラーメン店を、どうやったらはやらせることができるのか。「玄関にメニューを出す」「今日のランチを貼り出す」「おすすめメニューを外に見えるように出す」「玄関を掃除する」など、どうしたらいいかを考える。それが発想の出し方です。発想を出すのは訓練ですから、たとえば1日に何個と決めて考えると有効でしょう。自分の仕事に関して、どんなアイデアなり企画があるのかということについて考えてみましょう。
この研修での発想の出し方は、あくまで自分のビジネスの中で、どういうふうにしたらより面白い仕事ができるか、いまの仕事を面白く変えられるかにフォーカスを絞っています。
いろいろな方法で発想を出す練習をし、次にそれを具現化していきます。そのための方法は一つ、「ずっと考え続ける」ことです。たとえば会社の売り上げを改善したいと思ったら、それについて5分くらい集中的に考えるのです。そうすると頭の隅に「売り上げを改善しなければ」ということが残ります。トイレのときや手を洗うときなど、それを時々取り出しては考えてみましょう。そうすると2、3日経つ頃に、頭の中にイメージがポコンと浮かんでくるのです。どうしてそうなるかというと、「考え続ける」からです。急に解答が思い当たることってありますね。それを意図的にやるのです。ウンウンうなって何時間も考えるのは、特に仕事の上ではありえません。5分くらい考えて放っておく。「早く考え始めること」がポイントになります。発想を具体化させるためには、早く考え始めて、早く終わるということが大切です。
コスト0円の調査方法
次に「調査の方法」について説明します。世の中に企画力研修はたくさんあるのですが、単なる「調査」からスタートするものが圧倒的に多く見られます。たくさんのアンケート調査やヒアリングをして、その中からアイデアを拾い出していく手法は、現場ではほとんど役に立ちません。むやみに漠然とした調査をしても、コストだけかかって成果が見えないものです。ですから企画を確実に、コンスタントに立てていくときには、「こういうのがあったらいいな」というアイデアをまず最初に出して、それを自分の周りの10人に聞いてみます。そのうち7人が「いいね」と言ったら、次のステップに進みます。これならコストは0円ですね。身の周りの10人に聞いた後は、100人に聞きます。やはり身の周りで、知り合いや会社の人100人くらいに、やや詳細なアンケートをしてみる。これも1日くらいで回収できますから、コストはほぼ0です。
そこでだんだん具体的にものが決まってきたら、それを踏まえてアンケート調査なり公聴会やヒアリングをすると、非常に的確な反応が返ってきます。アンケートや調査は、かなり細部まで決まった段階でしかできません。雑駁な意見を集めても、ものを売ったり、実現するときにはあまり意味がないのです。
企画作り3つのポイント
企画は次の3つのポイントを満たしていると成功の確率が一気に高まります。まず「社会正義に反しないこと」、つまり社会の改善に役立つことです。世の中がよくなっていくものでなければいけません。それから「収益性があるか」、儲かるかということです。結局数字としての利益が出ないと、その企画は成り立たないのです。収益性がなくて社会性だけ、つまり「~であるべき」という「べき論」では、企業は当然として、税金を使う自治体であっても少し無理がある場合が多いでしょう。コストをかけるだけではなく、さらに利益を生むような方法に変えていくのがプロの仕事です。そして、社会性と収益性だけのものも、実はなかなかありません。もう一つ必要なものがあるのですが、それを「Something Newがある」と呼んでいます。「そんな手があったか」という、ちょっとしたひらめきのあるものです。
たとえばコンビニバンキングですが、これは「コンビニでお金をおろせてもいいのではないか」という、「こんな手があったのか」「ちょっと嬉しいね」という類のものです。それから1980円のパソコンソフトのように、1/5とか1/10の値段ならば、みんなが買うというものです。「そうくるか」という、ちょっとした面白さがあると、企画は実現しやすくなります。
以上の「社会正義」「収益性」「Something New」の3つが完璧に揃うと、企画は非常に具体化しやすくなります。私が企画やアイデアを考えるときには、常にこの3つの尺度で計っています。ひねりすぎて、一歩以上先に行ってしまうと、一般の人はわからない。「半歩ぐらい先」とよく言いますが、本当にそうだなと思います。すごくひねったところではないところを、座学で考えていただきます。
企画書のポイント
具体的に企画を立てていくときにつくる企画書は、100ページもある分厚いものがいいのかというと、実は全然違います。いい企画というのは、紙としては少ないのです。企画書を本当に通したいと思うと、企業の中では決裁をもらわなければいけないし、お客様には売っていかなければいけません。ということは、たくさん書いてあっても意味がないのです。もちろん細部を詰めていく部分はたくさんあると思います。しかし人に見せるときには、たとえばB4判やA4判1枚くらいに、簡潔にわかりやすく書いたものが必要なのです。これを書くことは、やはりテクニカルにも難しいことなので、それを演習で行います。
インソースの研修では、具体的にB4判の紙1枚に書いていただくかたちで、順々に演習していきます。特にいまの時代のポイントである、コストや費用対効果、リスク、スケジュールについてよく考えていただきます。企画を思いつくのはすごく楽しいことですが、どれだけお金がかかって、どれだけリターンがあるかは必ず説明しなければなりません。それについては、グループワークを行うことによって、他のグループの意見も踏まえて考えていただきます。それからリスクという点では、このような時代ですので、特に一生懸命考えていただきます。そうすることによって、リスクが少なく、費用対効果が合った企画ができるのです。そしてもう一つ難しいのがスケジュールです。いつ、どうやって完成させていくか。具体化できて、なおかつ急ぎすぎず、遅れずというスケジュールを立てる練習をしていただきます。
以上が企画力研修の中核になっています。すなわち2日間の研修の場合、座学が半日~1日、企画書をつくる実習が1日~1.5日という構成になります。
研修で企画づくりを体験
仕事から離れた研修の場で、とことん頭を使って、短い時間集中してもらいながら企画書を立ててもらうのが、この研修の大きなポイントです。そうすると、実際に素晴らしい企画ができてしまうのです。たとえば企画とは全く無縁の方が、発想が自由なせいかもしれませんが、すばらしい企画を出されることがよくあります。研修の最後にはグループごとに発表会をしてもらいますが、2日間の研修では1人1テーマというわけにはいかないので、チーム単位で1テーマ、企画書をつくってもらいます。各チームでやっていただく課題については、事前課題で「どんな企画を立てたいか」という調査をし、それを踏まえて面白そうなものをチーム数の分だけ選びます。チームで楽しく進めて、最後には発表会を開きます。みんなでいろいろな観点で評価をして、ベストワンを決めます。楽しくお遊びをしながら、それから頭は全力で考えてもらいながら、わずか1日~2日くらいでかなりの量のワークをやるかたちになります。それから、企画を立てて終わりではつまらないので、立案した企画を具体的に社内や組織の中でどうやって通していったらいいのかという、若干の交渉術についてもレクチャーいたします。
この研修の講師陣は、実際にそれぞれの現場で、企画を立ててそれを実現してきた人たちです。コンサルタントではなく、「自分の手を汚して、自分の会社で企画を立ててきた人による研修」というのがポイントです。考えただけではなく、やったことがあるか。苦労したことがあるか。実現をして、苦労した人で、しかも実際にまだ現役で、終わっていない人による研修。それがインソースの企画力研修のポイントです。
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