「おまかせします」はおまかせではない!
デザインは「おまかせします」と言われたのに「全然違う!」と言われてしまった。このような経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。WEBデザインを決定するうえで、クライアントから8~9割がた必ず言われるのが「おまかせします」というお言葉。しかし、私の経験上ほんとうにおまかせされたということはほとんどありません。
ではなぜクライアントは「おまかせ」という言葉を使うのでしょうか?
クライアントのほうでも「○○のサイトのようなイメージ」という漠然とした要望はあるのですが、その裏にある無数の本当に自分のやりたかったことに気がついていない、あるいは気づいていてもうまく制作者に伝えるすべがないために「おまかせ」という言葉になってでてくるからです。
本当にクライアントがやりたいことを聞き出すには、いくつかポイントがあります。
ただ聞くだけのヒアリングは卒業!相手の要望を「引っ張り出す」ヒアリング
たとえばクライアントから「楽天みたいなサイトを作りたい」と言われて、楽天のようなカラーやレイアウトのデザインを提出するのは間違いなく失敗のパターンです。「楽天のようなサイトがいい」と言われたら、
A:なぜ楽天がいいのか?
B:楽天と今回クライアントが考えているサイトはどういうところがビジネス的にマッチしているのか?
など、なぜ楽天がいいという結論に至ったのかという「理由」をヒアリングするのがポイントです。これにより、クライアントの側も本当に自分がやりたかったことが見えてくるし、制作側もクライアントの意図をより具体的に汲み取ることができます。
クライアントのイメージを引き出すコツ
大まかにいって、サイトの持つイメージは次の5つに分かれます。
1.さわやか系
2.あったか系
3.かわいい系
4.かっこいい系
5.高級系
楽天のキーカラーは赤なので、楽天のようなイメージというとたいていの場合は2.を想像するかと思います。しかし、今回のクライアントは女性向けのワンピース専門店を立ち上げようとしています。ワンピースというとかわいらしいイメージだから、楽天のイメージとクライアントのビジネスはあまりマッチしてるとはいえません。
ではクライアントは楽天のどんなところがいいと思ったのでしょうか?
色以外でも、Webサイトのテキスト配置はこんな風に分類できます。
1.盛りだくさん系(文字や画像が多い)
2.シンプル系(文字が画像が少ない)
楽天は1.にあてはまるので、このクライアントはサイトに文字の多い盛りだくさんのイメージを求めていることがわかります。ここではじめて、「サイトの色味はどんなものがいいですか?」と聞きます。
色味と聞かれて赤や青と具体的な色味を言えるクライアントはあまりいませんが、上にあげた「さわやか系」「あったか系」などのうちどれがいいかと聞かれたら即答できる人がほとんどです。今回のクライアントの場合ですと、ワンピースはかわいいイメージなのでピンク系の色味がクライアントのビジネスイメージに一番マッチしているといえます。クライアントもやはりかわいらしいイメージがいいと思っていたようです。
しかし、今回のクライアントはまだビジネスを立ち上げたばかりで
商品があまりないので、メニュー数が多くなりそうにありません。メニューが多くないと、どうしても文字も多くならないので今回クライアントの求めているイメージには近づけないとはっきりお伝えします。クライアントもそれに納得した様子です。さて、これでサイトのコンセプトが決定しました。
1.色はピンクをキーカラーにしたかわいい系
2.テキストはシンプル系
楽天とはおよそ近づかないイメージのサイトとなりましたが、「楽天」というキーワードをベースにしていかにクライアントの理想を知るかが目的なので今回の目的は達成できたといえます。
あえて怒りを引き出してみる
上記でお話したように、クライアントのもつイメージを誘導尋問することでうまく引き出すことは重要な作業なのですが、それでもクライアントの意図がよくわからないこともたまにあります。クライアントがおとなしい方だったり、お伝えいただいているイメージが抽象的すぎてよくわからない場合など、いろいろなケースがありますが重要なのはそんな時でも失敗を恐れずとにかくデザイン案を出すことです。全然意図と違うデザインを出してしまい怒られたりすることもありますが、そこで失敗だと思う必要は全くありません。意図がわからなかったのだから仕方ないのです。むしろ怒りはチャンスでもあるので、逆に意図とは全然ちがうデザインを出したりするのも手段の一つです。
たとえば恋愛で、自分の好きな人が別にいるにもかかわらずたまたま他に言い寄ってきた人と勢いでつきあってみて、「何か違う・・やっぱり自分が本当に好きなのはあの人なんだ!」ということが自分の意図と全く違うものに接してはじめて自分の気持ちに気づくこともあるかと思います。それと同じで「こうじゃない! 私のやりたかったのは・・・なんだ!」という感情をクライアントに抱かせ、言葉として引き出せればしめたものです。最終的にクライアントを満足させられればいいのですから、初期段階ではどんどんクライアントを怒らせてもいいのではないかと思います。
ただし、こちらの技は「最終的に絶対クライアントを満足させられる」という自信をお持ちの方のみ有効です!



