管理職セミナー安藤弘一講演録(6)
2009年8月24日

リーダーに求められるものとは?

執筆者: WEBインソース編集部

リーダーとしての強い信念と覚悟が大前提

皆さんは、リーダーに威厳のようなものを感じたことがありませんか。
組織には、リーダーである“長”がいて次席がいます。この二人を比較しても、“長”と次席では、威厳がまったく違うのです。

「この違いは、いったい何だろう」と思わず考えさせられます。
実は、この違いは、リーダーとしての責任の重さとこれを全うしようとする信念と覚悟の違いから来ているのです。

実際、この信念と覚悟を備えていない者がリーダーになると、組織は悲惨な状態になります。
組織は方向性を失い、パフォーマンスが低下します。
その建て直しにも多大なエネルギーを必要とします。
この点を踏まえて、ある会社の人事部長が、初任のリーダーにお願いしていることを2回目の説明において紹介しました。

ポイントを繰り返しますと、リーダーは、
?)自ら組織をリードし、お客様と会社に貢献するという強い意志と信念をもつ
?)組織がよくなるのも悪くなるのも全ては自らのリーダーシップにあると認識する
という2つの姿勢が重要となります。

リーダーは、目標を達成できるかどうかの計算力をもたなければならない

それでは、具体的にPDCAを回していきましょう。

PDCAは“Plan”から始まります。
何事もスタートが肝心です。
“P”の段取りのよし悪しが、引いてはPDCA全体の成果を規定し支配します。
リーダーは、この点を認識し、“P”の段取りに全力を挙げて取り組まなければなりません。

“P”の段取りを再確認しましょう。“P”とは、組織目標とこの達成に向けてとるべき基本方針をメンバー全員で確認することから始まります。
そのうえで、誰が、何を、いつまでに達成しなければならないのか、役割分担を明らかにします。

それでは、成果を出せるリーダーは、この“P”の段取りをいかにリードしているのでしょうか。
その答えは、「どうすれば目標を達成できるかの計算力を発揮している」です。

具体的には、「展開すべき施策を検討し、それぞれの施策に経営資源をいかに配分すれば、目標を達成できるのか。
この点について何通りものシュミレーションを行い、その中から、ベストの方法を選択します」。

リーダーとは、組織全体を見渡す立場にある唯一の者です。
リーダーが自らこの計算力を有し、この計算力を発揮できなければ、PDCAは適切にスタートしないのです。
この計算の結果、リーダーは、次の諸点を掌握でき、これらをメンバーに伝達することができるのです。

  • 目標を達成するために、今期、何を重点施策に据えるのか。それは何故か。
  • この結果、今期は、前期と比べて何をどのように変えなければならないのか。
  • それぞれの施策を完遂するために、メンバーは各々どのような役割を担うのか。
  • 目標達成の難易度にてらして、今期、進捗状況をどのように管理するのか。

“P”の段取りがこのように周到に準備されると、PDCAの展開が実にスムーズです。
たとえば、次の“Do”において、月次目標の達成状況がおもわしくないとき、“P”の段階で想定した前提(=たとえば、A君の生産性を100と見込んでいたが、実は80であった)をチェックすることによって、PDCAの“Check”と“Action”を適切に進めることができます。

最後の決め手はチーム力をいかに引き出せるか

“P”の段取りが終わると、次は“Do”の展開です。
“D”において、リーダーに課せられた責務は、組織のもてる力を最大限引き出し、目標を達成することです。

それでは、リーダーは、組織力ないしチーム力をいかにすれば有効に引き出すことができるのでしょうか。
あるリーダーは、若い人との飲ミニケーションが大切であると言います。
一見本質論のようですが、そうではありません。

しかし、多くのリーダーが部下との「飲ミニケーション」を重視するように、ここに一つのヒントが隠されています。
リーダーが、部下の心を掌握し、部下が働きやすい環境を整え、部下の成長を支援する。
これが組織力を有効に引き出すための最善の方法です。
このための具体的な方法を次に説明します。

強い組織とは何か

「強い組織をつくる」。これは、会社における永遠の課題ともいえます。
この課題を解決するために、「組織に優秀な人材を集めればいい」と主張する人がいます。
しかし、これも、一長一短です。
それぞれが活躍できるミッションの大きさがあれば、組織に数多くの優秀な人を集めても機能しますが、ミッションが小さければ、「船頭多くして、船が山に上ります」。

もっとも、多くの会社では、優秀な人材を数多く集めるという贅沢は許されません。
「わが社には、いったい優秀な人材が何人いるのか」といった問題が先立ちます。
よく言われることですが、会社の人材は、多くの場合、“できる人:普通の人:できない人=2:6:2”の割合で構成されています。

優秀な人は2割しかいないのです。
この点を踏まえると、強い組織づくりとは、リーダーが、与えられた人材を活かして、組織力ないしチーム力をいかに引き出すかという問題に他ならないのです。

会社には、「業績が上がらないのは人材が悪いからだ」というリーダーがいます。
しかし、正しくは、「業績が上がらないのは、リーダーとしての部下指導の問題だ」ということです。
この点、くれぐれも誤解ないようにお願いします。

強い組織の2つの条件

強い組織をつくるには、2つの条件を満たす必要があります。
?)メンバー一人ひとりが会社や仕事に対して満足感を覚え、?)一人ひとりが目標達成に向けて互いに健全な競争意識を燃やしている、という2つです。

前者の?)については、この考え方を強力にサポートする理論があります。
それは、ハーツバーグの動機付け理論です。
この理論は、「人々を動機付ける要因には、衛生要因と動機付け要因の2つがあるというものです。
このうち、前者の、職場における不快や不満を取り除き職場環境を衛生的に維持する要因(=衛生要因)だけでは、人々を真に動機づけることはできません。

人々を真に動機づけるためには、仕事への達成感を味わい、自らの成長が実感できる(=動機付け要因)ように働きかけなければならない」とハーツバーグが唱えたものです。
この点、リーダーは、部下に、自分自身が成長したこと、会社や社会に貢献できたことを実感させる取り組みを行う必要があります。

後者の?)について、つまり、「メンバーが互いに健全な競争意識を燃やす組織」をつくるためには、「自分の力では競争できない人に競争力をつけてあげること」が大切です。

リーダーは、組織が“できる人:普通の人:できない人=2:6:2”の割合で構成されていることを踏まえて、2割の“できない人”から順に悩みを抱えている部下を重点的にサポートすることが必要です。
このようにして、できない人が成果をあげることができるようになれば、組織内に健全な競争意識が連鎖的に拡がります。 

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