コールセンターの存在意義(設置目的)やビジョン、成熟度によって「良し」とする基準が異なります。
センターの存在意義(設置目的)
まず、センターの存在意義(設置目的)は、
- 効率化が最大の目標の完全な事務処理型センター
- セールスを最大の価値とするプロフィットセンター
- お客様の利益実感が高まるCSセンター
- 営業サポートのためのコールセンター
- ユーザーサポートのヘルプデスク
・・・など、以下のような5点が考えられます。
たとえば、売上げ・受注を最重要視する、「セールスを最大の価値とするプロフィットセンター」の場合、販売力の高いコミュニケーターの会話が「良し」とされるのは当然です。つまり、こののセンターでは、「敬語が適切」より、「声が明るいか」「セールストークが巧み」「提案がある」がモニタリングに際して重視されます。
センターのビジョン
また、コールセンターのビジョンによっても「良さ」の定義は異なります。例えば、同業の2つのコールセンターがあるとします。
A社:業界では新興企業
- ビジョンは、「10年後に業界のトップブランドになること」
- 対応のスピード感やフレキシブルかどうかが、センターが重視するポイント
B社:業界大手、最近、監督官庁の監査が入る
- ビジョンは、業界トップの地位の維持
- コンプライアンスなどの見直しが重要視され、手続きの安全性や説明力なども応対の評価に加えられている
このようにビジョンが、その組織が異なれば、品質の概念がまったく別のものになります。だからこそ、コール品質は各センター別に「最高品質」があり、いわゆる「一般解」は存在しないのです。
センターの成熟度
センター設立直後は、コミュニケーターの業務知識の安定が重要項目に挙げられます。つまり、評価全体に対する知識についての配分が高くなる傾向にあります。そして、時間の経過とともにセンターが成熟していくにつれ、求められるスキルが、顧客満足・営業センスなどに変化していくため、モニタリング項目もそれに呼応することになります。
いずれの場合でも、鉄則は「最高品質とはどんなものか」を具体的に決めることです。センター内の、「誰の」「どのような電話」がもっとも良いのかを具体的に決める組織における「良さ」の定義がモニタリングのスタートと言えるでしょう。