北澤孝太郎氏講演録(2)
2009年9月14日

「お客様に潜在している情報を知りたい」 | 北澤孝太郎氏講演録(2)

執筆者: WEBインソース編集部

北澤孝太郎氏のご紹介

◆北澤孝太郎氏◆
1985年、株式会社リクルート入社、20年に渡り、通信、採用・教育、
募集広告の分野で要職を歴任。営業責任者として、常に最前線に
立ってきたスーパービジネスパーソン。

◇QUESTION◇

相手の思惑やニーズなど、言葉に出てこない点を探るとき、1番重きを置いている視点は何ですか?

◆ANSWER◆ 

「相手の弛緩している時間を狙う」

初めの商談の際には、お客さんの話が本音かどうかを探ることは難しいので、分からなくても、あまり気にしないようにしています。

では、いつ探るのか、ということになりますが、僕は「相手が弛緩している時間」を狙うようにしています。

「刑事コロンボ」という映画をご存知ですよね。
犯人が執拗に事実を隠しても、コロンボが、帰り際に「ところで」と聞くと、相手はぽろっと本音を言ってしまうシーンがあります。

これは、刑事が向かい合っているときにはいろんな偽装をしようと思って緊張しているのですが、「じゃあ帰りますわ」といったときに心が緩んでしまうからなんですね。

お客さんの仕事が終わって気が緩んでいるところを狙って、僕はよく夕方に訪問に行きました。

昔は受付からオフィスが見える会社が多かったので、夕方行くと、普段は応接間できちんとしている人でも、タバコを吸ってたり、女性と喋ったりしていて、その人の“素の姿”を見ることができます。

そこでぱっと入っていって、「このたびはありがとうございます。こないだこんな話をしてましたけれど、本当はこうこうこうなんですかね」と聞くと、「いやそうなんだよ、聞いてくれよ」と本音が聞けることが多々ありました。

ですから、相手の気が緩んでいる時間を狙うというのは有効な方法の一つですね。

◇QUESTION◇

お客様と上手く取引きを行う“裏技”的なものを教えていただければと思います。」

◆ANSWER◆ 

「第三者を味方につける」

裏技かどうかはわかりませんが、取引をうまく運ぶための方法としては、「第三者を味方にする」ということがあります。

僕は、受付の方やお茶を運んでくる人の名前を、必ずメモして覚えておきます。
次、電話をするときに、「○○さん(ターゲット)いらっしゃいますか、いらっしゃらない、じゃあ○○(受付の方やお茶係の方)さんいらっしゃいますか」といって受付の人を指名します。

すると、向こうは私のこと覚えていてくださったんだ、と好意を持ってくれます。
そこで、「実はこういう理由で、○○さんに今度アポイントをいただきたいと思いまして」といえば、 ほとんどの人は伝えてくれます。

逆に、一度会っているのに、自分だけ名乗って相手の名前を呼ばないでいると、何だこいつはと思われますね。
ところが名前をお呼びすると、「きっと上司は前向きに検討しているに違いない。だからこの人の話を上司にちゃんと伝えることが私の仕事だ」と思っていただけますから、非常に営業がしやすくなります。

それから、「受付やお茶をだしてくれる方がどんな格好をしていたのか」ということを覚えておくことも重要です。
たとえば珍しいブランド物の時計をしていたら、それを褒めてあげる。
「この間はいい時計をされてましたね。ご自分で選ばれたんですか。」この一言です。
そうすると、「そこまでこの人は私のことを覚えているんだわ」と思っていただけます。

私は今でもやっているんですが、大きな会社に行った時には、そのビルの近くで、食事をするようにしています。
ある会社の会長の秘書が、一人で、地下のうどん屋さんでカレーうどん食べているのを発見したので、同じものを注文し、次回訪問したときに「あそこのカレーうどん、おいしかったですね。偶然同じものを食べられてましたね。」と言いました。

すると、それから秘書の方は私の大ファンになってくださって、何を言っても会長に伝えてくれるようになりました。できるだけそういうチャンスを活かすことですね。

◇QUESTION◇

ズバリ、北澤さんにとって、“営業”とは何ですか!

◆ANSWER◆

「営業は“仕事”です」

「私にとっての営業」といいましても、仕事ですから、と言うしかありません。
しかしあえてひとつ言うとしたら、人とうまく話ができたときには、自転車をうまく漕げたり、数学の問題を短くうまく解けたり、そういうことと同じくらいのエクスタシーを感じますね。

僕にとっての営業とは、このエクスタシーをたくさん獲得するための手段です。
エベレストに登って大きな達成感を得るのもいいと思いますが、幸せは日々の小さなことをいくつも喜べることだと僕は思っています。そして営業ではその小さな幸せをたくさん感じることができるんです。

それから、もし皆さんが組織の中に属しているとしたときは、営業をやっているということは、その組織の中で「四番バッター」を任されていることに相当すると思うんです。
資金繰りをしてくるのが「一番バッター」。それは、お金を集めてもらわないと何もかも始まらないからです。
そして四番バッターが営業です。それは、営業が企業活動に必要な「売り上げ」を上げるからです。
企業活動というのは、そもそも収益を上げてその収益でなにかをなすということなので、営業職であるということは、この活動の中心者でいられるということです。

それから、営業には、“答え”がありません。どれだけ熟練してもしすぎることはないです。

ですから、営業では、常に「クリエイティビティ」が必要とされます。
「暗黙知」と「形式知」でいえば、営業のポイントというのは大部分が「暗黙知」です。
なかなか「形式知」にしづらい。そのときよくても、次の瞬間悪くなることだってある。とても「流動知」の高いものなのです。
その局面局面に応じて、自分のクリエイティビティを目一杯注ぎ込める職業、それが営業です。
 

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