北澤孝太郎氏講演録(4)
2009年9月28日

「部下指導のポイント」 | 北澤孝太郎氏講演録(4)

執筆者: WEBインソース編集部

北澤孝太郎氏のご紹介

◆北澤孝太郎氏◆
1985年、株式会社リクルート入社、20年に渡り、通信、採用・教育、
募集広告の分野で要職を歴任。営業責任者として、常に最前線に
立ってきたスーパービジネスパーソン。

◇QUESTION◇


部下指導で気をつけていらっしゃること・大切にされていることはありますか?

◆ANSWER◆

「立場に合わせて部下指導を行う」

部下との人間関係において、僕がリーダーとして気をつけていることは、基本的に、リーダーである自分が一番燃えていること、情熱がある状態を保つことです。

そして自分の情熱だけではなく、部下の方のモチベーションとその源泉を探ることも大切です。
部下が何をする時に喜ぶのか、やる気を出すのかを知っておくのが重要です。
仕事を一生懸命やらせてくれれば幸せなという人もいれば、仲間とわいわいやるのが幸せな人も、家庭を大事にしている人もいます。

実はこういうことを理解していないと、なかなか信頼関係というのは生まれません。
リーダーのやりがちなことですが、人によって重きを置いているポイントが違うことを忘れて、一辺倒に、皆バリバリ仕事をやりたいものだ、と思い込んで、「夜を徹してでも仕事しろ」と言う考えを押し付けるのは大間違いです。

個々の違いを認めた上で、やっぱりこっちへ行こうよ、と言うのと、何も考えずに自分の考えを押し付けるのとでは、部下との関係には大きな差が出てくると思います。

指示するときも、指示の意味をきちんと理解させて、話をして、大切なポイントごとに一つずつ要望する。
人間は多くのことを言い過ぎると自分の言ったことを忘れてしまいます。

ですから、ひとつずつ要望して、それができたら褒めてあげる。
褒めるまでは行かなくても、「どうなっているの」と様子を伺うなどの関心は寄せてください。
こういったことを続けていくと、互いに信頼感が出てくると思います。

リーダーから離れて、事業部長クラスになってくると、また違う部下への接し方が求められます。

事業部長クラスになったら、情熱を持ちながら、同時に「何もしない」。
一度権限委譲をしたら、ポイントだけ押さえて、あとは部下に自由にやらせることです。
介入したい欲望を抑えることが大切で、自分でやったら絶対うまくいくと思っても、ここは抑える。

大切なのは、部下やメンバーがやってくれたことを受け入れることです。
上司がパンパンと指示を出して進めていると、イエスマンは育つんですが、自分で考える、本当にやってくれる人は育ちません。
自分と同じように考えて動ける人間を作ろうと思うのなら、こういうことをぐっと我慢しながらやり続けることが重要です。

◇QUESTION◇

“伸びる人材”を見分けるポイントを教えてください。

◆ANSWER◆ 

「丸く生きると伸びない」

僕はよく若い人に、「丸く生きるとのびないよ」と言っています。
角がある、偏っている奴の方が将来的には伸びると思っています。
それは、角がある人間の方が、一つの物事に対して一生懸命取り組むからです。
角があると、方向性を間違ったり、やり方が分からないために苦労したりはしますが、そういうことは後からいくらでも修正がききます。
逆にこだわりなく常にまあいいか、とやっていると、いつまでたっても自分のノウハウは見えてきません。
これは、全ての顧客に0.9がけでやっていると、営業で受注が取れないのと一緒ですね。
やはり、「あとはできないけれども、ここだけは一生懸命」といった人の方がいいですね。
営業はものすごいんだけれども、回収はまったく駄目、という人も、中年になるとそれだけで問題ですが、若いときはそれくらいの方が伸びますね。
これは仕事だけでなく、人間性についてもいえることで、優等生よりも、案外偏った人の方が引きが強かったり、皆から愛されたりすることがあります。
でもこれも年を取ってくるから分かることではあるんですが。

◇QUESTION◇

リーダーとしてこれだけはやってはいけないことというものがあれば教えてください。

◆ANSWER◆

「自分のために嘘をつかない」

リーダーとしてこれだけはやってはいけないと思うのは、まず自分の情熱込めないジャッジをしないことです。

長期と短期、全体と部分など二律背反するような葛藤を決断していくのがリーダーの役割ですが、そこに情熱というか心がこもらないと、部下の燃えている気持ちをくじきます。

一度情熱をくじいてしまうと軌道修正がなかなか難しい。
多くの判断を求められるのがリーダーですが、その判断がたとえ間違っていたとしても一生懸命やっていれば、部下にもそういった姿勢は伝わると思います。

それから、嘘をつくときは気をつけてください。
嘘には二種類あって、いわゆる嘘と虚構に分けられます。

たとえば、病気の同僚がいたときに、「いや、実はね、俺の、親父も同じような病気でね」。
そこからは脚色で、「こうこうこうで、治ったよ」と言うのは虚構です。
相手を幸せにする嘘は虚構と言えます。

しかし、自分のために嘘をつくと嘘つきになります。
特に営業マンは、虚を構えることは許されますが、嘘をつくことは許されません。

リーダーとなったときに一番許されないことは、自分のために、部下に対して嘘をつくことです。
人間というのは下からはよく見えますから、こういった嘘はすぐ見破られます。そうすると、リーダーとして尊敬はされません。
低レベルで意気投合するか、嫌われるかのどちらかです。

リーダーとしてもっとも重要なことは、いい人であることではありません。
いい人であろうとして、自分の力を抑えるよりは、多少強引でも、
皆を引っ張っていけるような力がリーダーには必要です。

「善事をなさざる善人よりも、善事を為しうる悪人のほうが頼りになる」という言葉があるように、 悪人であってもいいことをできるリーダーが、いいリーダーです。
もちろん、聖人君子みたいなリーダーが一番ですが、完璧な人はそうそういません。
だったら、いいことをしないいい人よりも、いいことをする悪いやつの方が、リーダーにはふさわしいと思いますね。

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