2009年10月22日

「好き嫌い」

執筆者: インソース取締役顧問 大島浩之

「好き嫌い」

「この人とは相性が合いません」とか、「どういうわけかあの人、体質的に嫌いだわ」というのをしばしば耳にすることがありませんか?
 

それは、人の好き嫌いだけではなく、あらゆるものごとの判断にもあてはまるようです。いくら、論理的に説明しても、「頭ではわかるんだけど、でもね・・・違うのよ」です。

考えてみれば、好き嫌いでビジネスの重要な部分が決まることが多いと思いませんか?

最初に結論ありきで、その判断のもとは好き嫌いという価値判断であると。そして、論理とか理性は、その本性を覆い隠すための道具であるのではないかというわけです。

利害関係の価値判断

この点は、法律の解釈・判断と似ています。まず、結論ありきで、理由付けとして、都合の良い条文があれば、その条文を字義どおり形式的に解釈すればよし(文理解釈)。
 

逆に、条文を形式的に解釈すると不都合が生じる場合、条文の原則はこうなんだけど、例外を認める必要性があり、法の趣旨からも許容され影響が少ないからといえばよいわけです(目的論的解釈)。

好き嫌いの価値感ではないですが、利害関係の価値観です。

誤解をおそれずに言いますと、法律家の解釈・判断も煎じ詰めれば、こんなところでしょう。

もっとも、ビジネスの世界では、価値判断を表に出すことはほとんどないです。というよりも、それはタブーです。特に「嫌い」=「No」は、気の小さい人間は言ってはダメかもしれません。

会社の掟

例えば、稟議書で、この案件を着手したい場合の理由付けで、好き嫌いの価値判断は絶対といってよいほど書かれていません。当然ですね。

あるいは、昇格人事の理由でも、「俺はあいつが気にいっているから」というのがホンネですが、そのような理由付けは記録としては残っていません。これも、当然です。

さらに、「私はこの仕事が嫌いでやりたくないです」なんてストレートに言うものなら、上司との信頼関係はまず崩れます。

嫌いというのを、「こういった仕事は苦手ですが、チャレンジしてみます」とか「経験不足ですが、できるかぎりのことをやります」とか言わないとビジネスパーソンとして失格です。「Noとは言えない私」なのです。あまりにも、当然すぎます。

弁解じみたYes、場合によっては果敢にチャレンジする姿勢を出さないといけないです。

Noという場合、左遷、出世なし、クビを覚悟して言うべきかもしれません。これが、会社の掟であり、厳然たる組織論理なのです。これを打ち破るとすると、上記の話ではないですが、論理・理性の衣を着せて、言わないとダメです。

ですから、嫌な仕事を命令されたとき、できるビジネスマンは、YESと言って実現させるあるいは説得力のある理由を理路整然と述べて撤回させる。

さらに、寝技のできるビジネスマンは、日頃から飲ミニケーションを良くしておき、嫌な仕事を命令されるのを事前に回避しておく。こういった大人の対応が必要です。

ということで、ビジネスの世界で支配しているものは「好き嫌い」といった価値判断が少なくないですが、他方で、理由なしで直接「好き嫌い」と言うのはタブーです。子供の世界と対照的な大人の世界です。

最近、このあたりの違いがわからない大人になりきっていない若者をよく見かけます。心配です。

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