インソース執行役員・井東が語る(4)
2009年10月23日

売上は魅せるもの、経営管理は稼ぐもの

執筆者: WEBインソース編集部

売上は魅せるもの、経営管理は稼ぐもの

ゴルフをやられる方は耳にしたことがあるかもしれませんが、プロゴルファーがよく言う言葉に、「ドライバーは魅せるもの、パットは稼ぐもの」という言葉があります。

この言葉の意味は、ドライバーで遠くまでボールを飛ばすことで、観客を魅了することができるが、実際に良いスコアであがって賞金を稼ぐには、パットが入らないとダメだということです。

つまり、いくらボールを遠くに飛ばせても、最終的に良いスコアであがらないと賞金は稼げない、それにはパットが非常に重要であるということが、プロゴルファー自身の経験から出た言葉になったのだと思います。

この言葉を企業経営に当てはめた場合、「売上は魅せるもの、経営管理は稼ぐもの」ということが言えるのではないでしょうか。

この言葉は、今まで様々な企業経営、特に企業再生に携わってきた経験から、私が勝手につくった造語であります。

再生企業や利益の出なくなった企業にほぼ共通して言えることは、昨今の不況において売上が急激に減少した場合は別にして、売上が増加している、あるいは、それなりに上がっているにも関わらず、業績が大幅に悪化してしまったということです。

私は、そのような企業の事業計画策定の際には、必ずといっていいほど、「売上重視の経営から、利益重視の経営への転換」というコメントを記載します。

つまり、売上拡大にばかり気を取られ、利益を疎かにしてきた結果、苦境に立たされた会社がいかに多いことかということです。

売上を伸ばし、事業を拡大することによって、周りから良く見られたいというのが、経営者の願望であるのは理解できるのですが、足元を固めながら、しっかりした経営管理体制を構築しなければ、結局は利益が出ないどころか、会社存続の危機にまで陥ってしまいます。

そこで、経営管理が不十分で、危機に陥った企業のケースから、経営管理を考えてみたいと思います。

◆売上を伸ばすため、マーケティング調査を十分に行わないまま急激な出店を行い、不採算店舗が多数発生したケース

このケースでは、マーケティング調査が不十分で、事業採算の把握が甘かったこと、事業の拡大に人材育成が追いつかなかったなどの経営管理が出来ていなかったと言えます。

◆不良在庫を多く抱えてしまったケース

過大な売上計画に基づいた仕入を行い、売上が計画通りにいかなかった場合や仕入計画も持たずに、良いと思った商品をドンドン買ってしまった場合などが考えられます。
この場合は、売上計画の妥当性の検証が不十分であった、仕入計画作成が不十分であったという経営管理の欠如と言えます。

◆必要以上に社員数を増加させたり、必要以上に立派な事務所を賃貸して、固定費を大幅に増やしてしまったケース

売上が順調に伸びてくると、すぐに社員数を増やしたり、 家賃の高い立派な事務所に移転する会社は、売上の伸びが止まった段階で、高くなった固定費を吸収できずに、利益を大幅に減らしたり、赤字になってしまいます。
このケースでは、固定費管理が不十分であったという経営管理の欠如と言えます。
見栄っ張りな経営者が陥りがちな典型例ですが、経費についてはギリギリまで増やさない、過度な贅沢はしないことが、会社を長く存続させるポイントであると、私は考えます。

◆経営者の暴走を止められなかったケース

先ほども述べましたが、経営者は事業拡大欲が非常に強いものです。
このこと自体が悪いわけではありませんが、成長のスピードが自社の経営管理体制のレベルを超えた場合、経営に歪みが発生します。
つまり、「攻め」と「守り」のバランスが取れなくなってしまったということです。
経営者に対してはなかなか意見できないものですが、「経営者の参謀」や「CFO」は、「歯止め機能」、「牽制機能」を十分に発揮しなければいけないと、私は考えます。
逆に、健全な成長を果たすためには、「歯止め機能」、「牽制機能」を発揮する「経営者の参謀」、「CFO」が必要不可欠であるということです。

以上、いくつかの例を見ながら、経営管理の重要性についてのべてきましたが、企業の目的が、「利益・キャッシュフローをあげること」であるという原点に帰って、自社の経営管理を今一度見直して、健全な成長を実現して頂きたいと切に思う次第です。

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