インソース執行役員・井東が語る(9?1)
2009年10月28日

在庫の意味を考えよう(1)?過剰な在庫を持つのは危険

執筆者: WEBインソース編集部

アパレル企業で小売部門の建て直しに関わった

私は10年ほど前、アパレル企業で小売部門の建て直しに携わっていました。その企業では、当時の店舗数は25店舗、売上が35億円、営業利益が50百万円の赤字、在庫評価損を含めると、3億円の赤字に陥っていました。

 

赤字転落の要因は、当時山一証券、北海道拓殖銀行などの大手金融機関が倒産した後、景気が急速に悪化し、消費が大きく冷え込んだことで、売上が大幅に減少したことでした。

 

バイヤーが仕入計画を待たずに仕入れていた

そこで、まず行ったことは、当社の収益構造のチェックでした。そこで分かったことは、在庫回転期間(期末在庫÷平均月商)が2.2ヶ月もあったことです。上場同業他社の在庫回転期間が1.0?1.5か月でしたので、明らかに在庫水準が高すぎました。(結果は、1年かけて在庫水準を改善し、黒字化させました。)

在庫水準が高かった要因は、表面的には、売上が上がらずに、仕入れた商品が残ってしまったことでした。が、調査して分かったことは、そもそも仕入計画も持たずに、バイヤーが好き勝手に仕入れていたことでした。

売上が順調に上がっていれば、「結果的に」在庫も残らないのでしょうが、計画も持たずに仕入れを行うこと自体、バクチを打っていることと何ら変わりません。経営とは言えないのではないでしょうか。
 

ブームの終焉を読み誤ることもある

卑近な例を挙げると、10年ほど前に某玩具メーカーも、あるゲームで同様の失敗を犯しています。当時はそのゲームが大ヒットしており、玩具メーカーの業績も非常に好調でした。しかし、ブームが去った後の決算では、60億円もの在庫を残したため、多額の在庫評価損を計上し、大赤字に陥ってしまいました。これはブームの終焉を読み誤って、商品を製造しすぎたことが要因でした。

 

景気が悪くなると融資を引き締められてしまう

また最近では、不動産会社が多額の在庫評価損を計上し、債務超過に陥ったり、倒産する会社まで続出していることは、周知の通りです。不動産会社は概して、自己資本が薄く、多額の有利子負債と在庫を有して商売しています。

不動産市況が良い時には、金融機関から融資を受けやすいのですが、一旦景気が悪くなり、不動産市況が悪化すると、金融機関が融資を引き締めます。そうなると、不動産会社は途端に資金繰りが回らなくなり、黒字であっても資金繰り倒産を起こしてしまうのです。

このように、過剰な在庫を持つことは、経営上非常に危険なことです。確かにマーケットの読みは難しいのですが、その読みの誤差を最小限に抑えて、「適正在庫」を保つことも経営上重要なポイントの一つです。

 

在庫の意味を考えよう(2)につづく

 

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