2009年12月 1日

銅鉄主義と守破離、はじめに真似ありき

執筆者: インソース取締役:大島浩之

銅鉄主義

“銅鉄主義”という言葉をご存知でしょうか?

 ノーベル受賞者の益川さんの著書「益川流の『のりしろ』思考」を読んでいて面白いなと思った言葉です。

銅を使った実験を行い良い論文を書いた人がいたので、銅の変わりに鉄を使った実験を行って論文を書くといったもの。要は、人の真似をしちゃーだめだよということらしいです。

益川さんは、これに対して、真似をすることは絶対悪いわけではなく、習作だと思えばよいし、さらに言えば、銅・鉄だけに終わらずに金属普遍の法則を発見することにつながることもあるとおっしゃっています。

守破離(しゅはり)

芸術・武道の世界に、“守破離(しゅはり)”という言葉があります。

元来は禅の考え方と言われていますが、それが、能、茶の湯や武芸にも入りました。能の世阿弥、茶の湯の千利休、北辰一刀流の千葉周作といった人が代表的です。

ざっくり言えばこんな意味になります。

最初は、徹底的に師の教えを真似て守る。そのうえで、師の教えを自分なりに試行錯誤して破る。さらに、自分のやり方を確立して師の教えから離れる。

確かに、音楽や美術でも、修行時代は、高名な誰かに似た作品が少なからずあります。

いずれにしろ、芸術・武道の世界でも最初は基本の教えや型を真似ることです。

真似を恥じることはない

ビジネスの世界でも、事情は全く同じです。真似をすることに対して恥じることはありません。

営業も優秀な先輩のやり方を真似すればある程度のところまでは通用します。

ビジネス文書も最初は変に自分らしさなどは出さずに組織の流儀にしたがって真似からはじめればよいのです。

壁の高そうに見える法律文書だって、様式を真似すれば、なんとか体をなします。

おそらく、コンサルティングのレポートも、過去においてプレゼンテーションで成功したものを真似しているものが大半です。もちろん、枠組み・型についてです。

もっというと、コンビニとかラーメン屋などの出店の原則は、真似です。よく、注意して見ていますと、コンビニとかラーメン屋などがある場所で成功したら、その店の近所に違うフランチャイズの店が不思議と出店します。

 今流の言葉でいえば、フレームワーク思考(指向)というのでしょうか。

本質は、ずばり、はじめに真似ありきでしょう。私がときどき研修や講演でお話する際は、私の造語ですが、“真似タリズム”と言っています

 ところが、です。

基礎をおろそかにして、守破離の“破”にすぐいきたがる人が多いように思えます。「石の上にも3ヶ月」という人が少なくないように見えます。

確かに、基本の型を真似て守るのは、飽きがくるかもしれません。

しかし、上述の芸術・武道などの経験に照らし合わせても言えますが、基本の型を真似て身につけないと上達は覚束ないと思います。

真似の落とし穴

もっとも、“真似タリズム”礼賛にも落とし穴があります。

最近は、知的財産を尊重する時代になってきました。

独創性のあるしくみや枠組みも権利として守られるようになってきました。

夏目漱石ではありませんが、「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」(「草枕」)という時代です。

単なるアイディアやビジネスモデルまでが権利あるいはノウハウとして法律の保護対象になってきたというわけです。

ややもすると、知らずに使ったしくみ・言葉が、普通名詞ではなく固有名詞としとて保護されていたということにもなりかねません。商標として、著作権として保護されていたりしている場合がなきにしもあらずです。

外部に出た文書などには、人権を侵害するおそれだけでなく、知的財産権まで細心の注意が必要です。

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