2009年12月 7日

ホウレンソウを鍛える新人フォロー研修

執筆者: インソース代表 舟橋孝之

新人フォロー研修は育成に効果大

どの組織においても新人育成は重要です。1日でも早く戦力となるように、また新人本人が自信を持って職場で活躍できるようにと、ほぼ全ての組織で新人のための導入研修は行われています。
た だ、4月に導入研修を一度行ったきりで、あとは現場でのOJT任せでは、新人のスキル、意識面でばらつきが出たままになってしまい、せっかくの導入研修の 効果も半減してしまいます。ですから、新人研修に続けて、ばらつきを平準化する新人フォロー研修もぜひ実施すべきです。

新人フォロー研修の企画は難しい

と はいえ、実際、新人フォロー研修の企画は、難しいものです。まず、導入研修であれば、「社会人としての意識付け」と「ビジネスの基本スキル(マナー、仕事 の基本的なやり方)」の習得という絶対はずさないテーマが存在します。よって、この2つを柱にカリキュラムを構成すれば、新人および社内のニーズから大き くかけ離れることはありません。
しかし、新人フォロー研修を企画するにあたっては、社内、新人のそれぞれの要望をすりあわせる必要があります。 「新人の職場環境や業務内容の違いを考慮すべきではないか?」とか、「新人は何に困っているのか?」など、改めて調査しなければならず、研修カリキュラム を考えるのは一筋縄でいかない事が多々あります。時間が許せば、研修のニーズ・目的・内容について調査を実施すべきです。
事前に調査を実施する際 は、受講者の声を直接収集できるよう記述式とし、また手間がかからないように質問数は2問程度とします。受講者が自由に書ける質問や業務エピソードをその まま記載すれば回答となるものがよいでしょう。「困っていること」の情報があれば、研修企画は非常に立てやすくなります。
ただ、調査には手間がかかります。そんな時間が取れない皆様向けに、弊社で多数実施した新人フォロー研修研修の分析結果と、そこから作成した貴社内でも簡単に実施できる研修カリキュラムをご紹介いたします。

入社6ヵ月後の課題

弊社では多くのお客さまから研修のご相談をいただいていますが、その中で、入社6ヵ月後の研修課題ベスト3は以下のとおりです。

1.服装、敬語など基礎的な事がダメである
2.報・連・相(報告・連絡・相談)ができない
3.元気がない

実際に現場で新人を担当しているOJT担当者や経営幹部から「研修でなんとかならないか」と上記のようなことを指摘されることはないでしょうか。
一方、新人の悩みは以下のとおりです。

1.知らないことが多すぎて仕事が進まない
2.質問(相談)の仕方がわからない
3.仕事の優先順位がわからない

このように、新人フォロー研修の場合、「教えたいこと」と「教わりたいこと」に、大きなアンマッチがあります。今回は、両者の要望を満たしつつ、新人にスキルをつけ、元気になってもらうプログラムを考えてみました。

「近況報告ワーク」と「スキル向上」を組み合わせる

「配属当初は元気だったのに、最近はあの頃の元気が全くないな」と社内で心配される新人は必ずいるものです。そのような場合の新人フォロー研修では、新人同士で近況報告をお互いにさせ、経験を共有させることにより、意欲向上を図る手法が有効です。
職場での苦しい経験やうれしい経験を発表しあうことで、「ツライのは自分だけではない」「同期も頑張っている。自分も負けていられない」と不安を解消させ安心させると同時に、ライバル心を刺激して、再び仕事に対するモチベーションを高めていただきます。
しかし、近況報告ワークによる意欲向上策は、主に気持ちに働きかける方法であり、研修効果はあまり持続しません。職場に戻った直後は、良い顔で仕事をしますが、再びツライ事があると元に戻ってしまいます。

業務スキル向上こそが意欲向上の王道

新人フォロー研修で気をつけるべきことは、少しでも仕事を上手にできるようにさせ、ほめて意欲向上に結びつけることです。よって、新人に共通して求められる業務スキルを習得できるカリキュラムを組み込みます。

【意欲向上の仕掛け】
・新人フォロー研修で業務スキルを習得

・職場で習得したスキルを活用

・職場での評価向上=仕事に対する意欲向上

・意欲向上により新しい仕事にチャレンジ

ホウレンソウの研修で新人と社内の悩みを同時解消

研修担当者と受講者とのニーズがマッチするホウレンソウの能力を身に付ける研修を取り上げます。実際に社内で研修を実施する際には、これと併せて、ビジネスマナーの振り返りなどの実施もお勧めします。

ホウ・レン・ソウができない原因は「常識のズレ」

「最 近の若手はホウレンソウ(報告、連絡、相談)ができなくて本当に困る」と多くの上司の方々から相談を受けます。ホウレンソウができない原因は、お互いの 「常識」のズレが原因であると考えます。若手の「常識」がビジネスをするレベルに至っていないのが最大の要因です。実際、ビジネスパーソンとして、長く働 き、常識のすりあわせが進むと、的確に「報告・連絡・相談」ができる様になってきます。
例えば、新人に、「なぜ職場ではホウレンソウが必要だと思 いますか?」と質問すると多くが「情報共有のためです」と回答します。しかし、上司や先輩に対して、「新人になぜホウレンソウをさせるのですか?」と質問 すると、「新人に任せた業務の成果を確認するため、つまりリスクヘッジのためです」との答えが返ってきます。このように、もう入り口からズレが存在してい るのが実態です。

ホウレンソウの意義が「リスク管理」であることを教える

まずは、仕事のリスク管理のためにホウレンソウが絶対必要であることを教えます。「組織と仕事の関係は複雑で多層的であり、組織が新人に全面的に仕事を任せることはない、よって、報告・連絡・相談は当然にあるべきだ」という事を認識させます。
しかし、これだけを伝えると仕事に対する意欲を失いかねません。併せて、本人のメリットも伝えます。そもそも新人自身に、ホウレンソウによる利益実感がないため、「言われたことしか答えない」ようになっている場合が少なくありません。

学校と職場の違いを説く

ホウレンソウを説くにあたって、学校と職場の違いから改めて説明するといいでしょう。「会社は学校ではなく、年数回の試験成果だけで評価されることはない。毎日の積み重ねの中で評価が得られる」ことを教えていきます。

新人の気持ちにも配慮し「メリット」を説く

ど の職場でも、新人には難易度が低い業務から任せます。そして、多くの場合、業務の難易度と達成感は比例します。多くの新人は、最初に依頼される業務にあま り満足がいかないものです。「こんなことするために入社したわけじゃない。私はもっと出来るのに」誰もが一度は思うことです。
しかしながら、業務の習熟度の向上と共に依頼される業務の難易度は、飛躍的に高まっていきます。
習熟度が高ければ、一足飛びに難易度の高い、いわば、「やりがいのある仕事」が任されることも十分ありえます。
「自分は、どんな仕事をどれくらいの時間で、どんな品質で行うことができるのか」をしっかり上司に伝えることが大前提であり、早くやりがいを得たいのであれば、早く業務を覚え、毎日の報告・連絡・相談の中で早期に評価を得ることが重要であると新人に伝えます。
新人フォロー研修の中で、このタイミングで新人の目の色が変わります。効果抜群ですので、是非、この話を新人にしてあげてください。

改めて報・連・相の「技術」を教える

しかし実際のところ、意欲だけを喚起しても続きません。即効性、継続性を考え、形式面からも上手なホウレンソウを教える必要があります。

【適切なホウレンソウとは】

・ホウレンソウが必要な事象かどうかを判断すること
・簡潔明瞭であること
・タイミングが適切であること

ホウレンソウが必要な事象かどうかを判断すること

上司:「どうしてこんな重要な事を報告しなかったの?お客さまがお怒りだよ」
新人:「そんなに重要なことではないと思っていました・・・」
職 場で良く見かけるシーンではないでしょうか?実は、ホウレンソウが難しい理由は、習慣の問題ではなく、「判断業務」だからです。よって、新人には特に、ホ ウレンソウが難しいのです。一見、新人の怠慢が招いたトラブルのように思いますが、実は上司側にも少なからず責任はあります。

判断力をつけるのは、先輩・上司の義務

先輩・上司に求められるのは、考え方の軸を新人に認識させることです。「考え方の軸」とは、会社の理念や企業風土など「組織の考え方の根底」にあるものです。日常指導の本質は、この「考え方の軸」、いわば企業のDNAを頭の中に摺りこむことです。
この考え方の軸が出来れば、仕事の現場で判断に迷ったり、間違った判断をしてしまうことがなくなります。その結果、ホウレンソウが上手になっていきます。

指導のポイントは「考え方を縛る」

例 えば、指導用する際には、「○○をしてはいけない」「必ず○○すべきだ」という行動面を説明しがちです。しかし、必要なのは、「なぜこんな行動をするの か?」という意図を繰り返し伝えていくことです。そうすると、新人は業務を実行する際、考え方のプロセスにまで入り込んで、判断の軸を作っていきます。つ まり、考え方を縛ることを意識して教えていくやり方が重要になるのです。例えば、先の、上司と新人の間には、以下の様な指示が前にあれば、良かったのでは ないかと思います。

上司:「君にこの仕事を頼むよ。この仕事はお客さまに喜んでいただくためにやるという事を理解して欲しい。もし、お客さまがご不満に思うことがあれば報告して欲しい」
新人:「分かりました。お客さまに何かご不満があれば、ご報告し、ご相談させていただきます」

簡潔明瞭であること

「簡 潔明瞭」とは、「話すと約1分間。文字にすると、結論が50字、理由が3つで50字×3=150字で終わる内容」です。また、数値・数量・固有名詞が適切 に含まれており、できるだけ形容詞が少なくあいまいでない表現であることです。簡潔明瞭に伝えるためには、伝えたい内容を要約する力が必要です。
要約の第一歩は、話す前にまず、話す内容を箇条書きにすること。「結論」と「理由3つ」を心がけて書くと効果的です

タイミングが適切であること

ホウレンソウが出来ない原因の一つに、「タイミングが分からない」というものがあります。先輩、上司から見れば、些細に思えますが、実に多くの新人がホウレンソウのタイミングについて悩んでいます。

【新人の考え】
・報告しようと思ったが、上司・先輩が忙しそうで伝える事ができなかった。
・以前相談したら取り合ってもらえなかった。

新人も社会人であり、幼児ではないので、いつもいつも彼らの都合にあわせて話を聞いてあげる事は不可能です。しかし、「今、忙しい。あとにして。」とホウレンソウの機会を奪ってしまうことが何度が続くと、新人は億劫になってしまいホウ・レン・ソウをしなくなります。

「タイミングは作るもの」と教える

そこで弊社では、「ホウレンソウのタイミングは、作るべきもの」と新人に教えています。
新人は、新人なりに忙しそうな上司・先輩に気を使い、上司の手がすくタイミングを待っているのですが、実際の職場でそれを見つけるのは難しいものです。
まず、一般的に上司先輩の手が空いているのは、朝一番、午後一番です。通常、そのタイミングで話をすれば、まずホウレンソウは円滑に進みます。
さらに、それ以上に上司・先輩に自分の時間を作らせるためには、上司に「あらゆる仕事への取り組み方」を見せ、評価を得ることを教えます。
例 えば、新人には、一般的に職場の清掃、蛍光灯の交換から、居酒屋の確保までありとあらゆる仕事が降ってきます。そのような小さな仕事も含めて真剣に取り組 んでいると、人柄が評価され、多少口べたであっても、要領を得なくても、先輩・上司は時間を取りやすくなります。弊社研修では以下の様な例を引いて説明し ています。
「本来業務は積極的に取り組んでいるが、「職場の掃除」や「忘年会の幹事」などはあからさまにイヤな表情をするAさん。一方、本来業務はもちろんのこと、会議の設営や職場の清掃も自ら気づいて、積極的に行っているBさん
「自分が上司だったら、忙しい中、手をとめてあげたくなるのは、どちらですか?」と研修の中で問いかけます。そうすることで、日常の小さな仕事を積極的に引き受けることの重要性を理解させることができます。


新人フォロー研修(ホウレンソウ強化)の具体的な進め方

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