業界特有の専門用語
iモードの生みの親で有名な松永真理さんが、iモードを開発した際、コンサルタントの使うことばに辟易したそうです。例えば、次のような会話には、悲鳴をあげています。
「きょうのアジェンダは、オンディマンド型サービスをユーザーにどうアピールするかのストラテジィを考えるもので、アペンディックスに関するデータは云々かんぬん。では、次のアベーラブルな日程を教えていただきたいと思います」(「iモード事件」P47)
(注)「アジェンダ」「アペンディックス」「アベーラブル」はそれぞれ、議題、参考資料、都合の良いという意味です。
もちろん、「『ロジック・ツリー』だの『ミーシー(MECE)』だのわけのわからない語彙がどんどん出てくる。これらは、アメリカの経営学修士取得者特有の用語なんだそうだ。」(同書P50)
“煙にまく”とは、こういうことを言うのでしょう。松永さんのように素直な方は別として、気の小さい人は、おそれをなし、無言のまま聞き流すことになります。
もちろん、このようなコンサルタントばかりではありませんが…
世の中の変化とカタカナ用語
考えてみれば、インソースのホームページに並んでいる言葉は、私が社会人になったころ、新聞などマスコミではお目見えしていなかったものばかりです。
リスク、コンプライアンス、CS、ソリューション、ファシリテーション、ロジカルシンキング、タイムマネジメント、スーパーバイザー、セクシュアル・ハラスメント、IT、Windows、Word、Excel …
そもそも、インターネットやその前身のパソコン通信ということばさえなかったくらいです。かろうじて、モチベーションは学生の頃、心理学で習って知っていた程度で、隔世の感がします。確かに、世の中が大幅に変わったのでしょう。
しかし、私には、表面的な変化の割に、実は、中味があまり変わっていないように思えてならないです。外来語に惑わされているだけで、日本語で説明できそうです。
危険、法令遵守、顧客満足、解決策、合意形成促進策、論理的思考法、時間管理…
まあ、欧米ではやったことばを、かっこよく言っただけで、まったくおそるに足らないです。IT(インフォメーション・テクノロジー)も、90年代のマルチメディア、さらに80年代に遡ればニューメディアと、多少ニュアンスは違いますが、同じ場面で使っていました。事実、すべて、私が所属していた部署に冠された名前にもなっていました。
とはいうものの、営業上は、ロジカルシンキングやタイムマネジメントのほうが受けがよいですね。内心忸怩たるものがありますが、私も、大勢に流れるほうですので、やむなくカタカナを使っています。
「クライアントさまへのレポートやプレゼンにあたってポイントとするものは、フレームワークとキーワードです。」
いやはや、こんなふうに言っては駄目ですね。
「お取引先さまへの報告書や発表で重視するものは2つ…枠組みと鍵になることば」です。と言い換えたほうがよいでしょうか?
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