2010年1月 8日

整理力(3)頭の整理・前編

執筆者: インソース執行役員 井東昌樹

頭の整理

1回目は「身の回りの整理」、2回目は「仕事の整理」について述べました。最終回の今回は、「頭の整理」について述べたいと思います。頭の整理については、前編・後編に分けて記載致します。
頭の整理=「ロジカルシンキング」とお思いになる方も多いと思いますが、世に出ているロジカルシンキング本は、やたらと難解に書かれてあって、我々が読むのも苦痛になってしまうものも少なくありません。
いわゆる「理論」が学術的に記述されているだけで、ビジネスの現場でどう活用すればよいのかが得られにくいように、私は感じます。
ビジネスにおいて、頭の整理を行ううえでの思考方法は多くありますが、日ごろの業務において使用する頻度の高い思考方法はそれ程多くないと思います。

以下に代表的な思考方法を記しますので、ご活用頂きたいと思います。

1.常に、「なぜ?」・「何で?」という疑問を持つ

すべての事象に対して、常に「なぜ?」・「何で?」という疑問を持つことが、すべての思考の出発であり、相手方に「なぜ?」・「何で?」と,率直に質問をぶつけることが大切です。
事象の理由、背景をつかむことが、解決の糸口にもつながっていきます。例えば、研修を例にとります。

お客さま:「タイムマネジメント研修を実施したいんだけど。」
営 業 :「どうしてタイムマネジメント研修を実施したいんですか?」
お客さま:「来年4月に労基法が改正になり、60時間超の残業時間には、1.5倍の時間外手当をつけなければならない。今のままなら、人件費総額がアップするので、残業時間を減らすために、タイムマネジメントが重要になってくるんですよ。」 
営 業 :「な?るほど。」

労基法改正による残業代アップ⇒すべての会社に共通する事項⇒他の会社にも横展開して、タイムマネジメント研修を提案すれば効率的な営業ができるかも(仮説)⇒実際に提案してみる(検証)⇒受注が増えた(やったね!)という、発想の膨らみ、仮説と検証にもつながります。

お客さまから言われた通りのことをこなすだけでは、単なる御用聞き営業にしかすぎませんが、そこから発想を膨らませて、仮説を立てれば、営業にも広がりが出てくるというものです。
たったひと言、「なぜ?」とお客さまに聞くだけで、目の前がパッと開けてくる典型例です。

2.常に、「5W1H」・「6W3H」で考える

5W1H:Who(誰が)・When(いつ)・Where(どこで)・What(何を)・Why(なぜ)・HOW(どのように)
6W3H:5W1H+Whom(誰に)・How many(いくつ(数)) ・How much(いくら(量))

1.のWhyに加え、「5W1H」・「6W3H」で常に考えることができれば、頭の回転は間違いなく速くなり、頭の整理も行いやすくなります。
この単純な思考がスムーズにできない人がどれほど多いことか!
皆さまの中にも心当たりのある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
この思考方法とて、「無意識」にできるものではなく、「意識的」に「訓練」することで始めて身につくものだと思います。
私は、この思考回路を持ち合わせていない人は、ビジネスにおける正しい思考ができないと考えています。
ちなみに私は、銀行時代に通った英会話学校でかなり訓練させられましたが、最初の頃は質問が出てこなくて苦労しました。
今になって思えば、あの時の訓練は非常に有益でありました。
「私はフルマラソンを走りました。」という一文に対して、どんな質問が考えられますか?
⇒「何ていうマラソンを走ったんですか?」、「いつ走ったんですか?」、「誰と参加したんですか?」、「どのくらいのタイムだったんですか?」、「なぜフルマラソンなんかに出たんですか?」、「どの位練習を積んだんですか?」等。
「運転資金を貸して欲しいんだけど。」と顧客から言われた銀行員は、顧客に対してどんな質問をすべきか?(私が銀行で融資を担当している時に、融資案件を詰められない営業マンが非常に多かったです。)⇒「なぜ資金が必要なんですか?」、「いくら借りたいのですか?」、「いつまでに必要なんですか?」、「どうやって返済するのですか?」、「何を担保に入れて頂けるのですか?」等

3.時系列、流れで考える

頭を整理するためには、モノ、コトを流れ図にしてみると、非常に分かりやすくなります。人が書いた流れ図を見るだけでなく、一つの事象、現象を、自分でスッと流れ図にできるようになれば、しめたものです。これも意識して訓練しないと身につかないものです。
いくつかの例を記します。

【営業を流れ図にして考える】

見込み先リストアップ ⇒ テレアポ・訪問 ⇒ 人間(信頼)関係構築⇒ ニーズのヒアリング⇒提案 ⇒受注(やったね!)

営業を流れ図にして、各々のポイントで何が必要なのか、どうすべきなのかを洗い出してみると、営業で必要な要件が整理しやすくなります。
これは、個人レベルでの必要要件が整理できると同時に、マネジメントレベルにおいても、案件が進まない場合に、どのポイントが障害になっているのかを把握し、対策を講じるのに役立ちます。
例えば、「担当者レベルにしか会えず、キーパーソンに会えないので、話が進まない」ということが問題であれば、上司が同行訪問するなどの対策をとることができます。

【財務を時系列に並べる】

私は企業再生に携わってきましたが、まず最初に必ず行うのが、過去5?10年分の決算書(BS・PLとも)を時系列に並べて整理し、過去からの変遷を俯瞰すると同時に、経営計数上の問題点を洗い出すことです。そして、問題点の解決策を具体的に考え、実行していきます。
例えば、PLから、売上が年々減少している、原価率がアップして、粗利益率がダウンしている、売上の減少にコスト削減が追いつかず、2009年9月期には営業赤字、経常赤字に転落した といったようなことが読み取れます。
1.に従えば、「なぜ売上が減少したのか?」、「なぜ原価率アップしたのか?」、「なぜコスト削減が進まないのか?」という疑問を持ち、その原因を考えることが第一歩です。
次に、どうしたら赤字を脱却できるのか、その方法論を具体的に考えます。端的に言えば、「売上をアップさせる、コストを削減する、2つを同時に実現する」、このご時世では売上アップは至難の技であることから、「売上横這いの前提で、粗利益率の改善、コスト削減によって、利益を捻出する」という作戦を取ることも考えられます。

【大学経営を流れ図にして考える】

18歳学生の入学 ⇒ 学生の教育・育成 ⇒ 学生の社会への送り出し⇒社会人学生の受入

これは、「大学経営を考える」という研修テキストを作成した時に記載したことなのですが、大学経営を多面的に考える手段の一つとして有効ではないかと思います。
学生の入学に際しての「入口戦略」?学生の社会への送り出しという
 「出口戦略」を一気通貫で考え、各々の段階でどのような戦略を立てるのか、大学にとっての「顧客」をどう捉えるのかということが整理しやすくなります。

この流れの中で、「ヒト・モノ・カネ」という企業経営の3大要素を組み合わせると、更に戦略が立てやすくなるのではないでしょうか。

まだ続きますが、かなり長くなってしまいましたので、この辺で「to be continued」と致します。

整理力(1)身の回りの整理整理力(2)仕事の整理整理力(4)頭の整理・後編

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