2010年3月 5日

人材育成計画、研修体系を考える(2)

執筆者: インソース営業本部長:井東昌樹

人材育成、研修体系を考える(1)では、人材育成、研修体系を考えるにあたり、基本的かつ最も重要なポイントについて、述べさせて頂きました。

前回のポイントは、以下の2点でした。

1.経営トップが人材育成に真剣に取り組んでいること(人材育成に執念を燃やしていること)

2.人材育成手法をよく理解すること

今回は、前回の続きということで、人材育成、研修体系をより具体的にどのように考えたらいのかについて述べさせて頂きます。

人事評価制度が構築され、実際に運用されている

そもそも人事評価制度とは、何のために存在するのでしょうか、またその最大の目的は何なんでしょうか。

人事評価というからには、昇給・昇格(降給・降格)、賞与を決めるための材料にするための制度であるとか、目標を設定したからには、評価を下さなければならない、などの意見が出てくるのではないかと思われます。
確かにその通りだと思います。

しかしながら私は、その最大の目的は、人材育成であると考えています。
人事評価は最終的に、人材育成を進めてきたうえでの最終結果であり、人事評価のプロセスにおいて、目標達成に向けて、いかに考え、いかに取り組んできたのかが重要であり、それがOJTにおける最大の人材育成につながるのではないかと、私は考えています。
とするならば、人材育成と人事評価制度は密接にリンクしており、人事評価制度が構築され、運用されていることが、人材育成につながるということになります。

会社が求める人材像が明確化されている

会社には必ずと言っていいほど、「企業理念」が存在します。
企業理念をひと言で言えば、時代が変われど、人が変われど、未来永劫変わらない、会社の存在意義、存在価値のことです。
企業理念を実現していくのは、その会社の社員(含む非正規社員)でありますので、企業理念を実現するために求められる人材像とは何かが明確になっていることが必要になる訳です。

人材像は、職種によっても変わりますし、その時代時代にマッチしていなければなりませんが、全社員に共通したものでなければなりません。

まずもって、この人材像が明確に定義されて、その人材像に求められる能力・スキルを明確にするのが、次のステップです。

求められる能力・スキルが明確化されている

会社が求める人材像が明確化された次のステップで、求められる能力・スキルが明確化されなければならないのですが、その能力・スキルを明確化する際のポイントは、より具体的に落とし込んでやることです。

より具体的にとはどういうことかと言えば、

 ・階層別・年次別に明確化する
 ・職種別に明確化する

ことになります。

縦軸に階層・年代、横軸軸に職種で、この能力・スキルを整理することによって、より具体的な能力・スキルマップが出来上がります。

これを行うことによって、頭の中でモヤモヤしていたことが、一気に整理されると思います。

そのうえで更に具体的に、それらの能力をいつまでに習得しなければならないのかを明確にすれば、なお一層クリアになります。

ここで注意しなければならないのは、「能力」という概念的な言葉を整理することです。
私は、能力を定義づけるには、2つに分けて考えればよいと思います。

能力1:「企画力」・「交渉力」のような、抽象的な言葉で現わされる能力
能力2:「お客さまに対して、独力で提案書が作成できる」というような、行動レベルで見える状態にした具体的な業務能力

そのうえで、能力1で抽象化された能力を更に、能力2に書いた日常の業務における個別具体的な能力で表現するという手順で、能力を定義づけしていきます。

研修体系を作成する

求められる能力・スキルの定義づけが終わったら、最後に具体的な研修体系を作成することになります。

研修体系を作成するにあたっては、以下の点がポイントになります。

・OJT、自己研鑽など人材育成体系との関係も考慮する
・先の階層別・年次別、職種別に求められる能力に合った研修を当てはめる
・全体の集合研修か、個別に受講させる研修かを区別する
・会社内部で行う内製化研修か、外部委託する研修かに区別する

上記の中で特に考えて頂きたいのは、集合研修と個別研修、内製化研修と外部委託研修の2点です。

集合研修については、内製化研修か外部委託研修かを割り振ることになりますが、個別に受講させる場合には、受講者一人からでもOKであるオープンセミナー、公開講座の利用を積極的に考えることをお薦め致します。

受講者が数名の研修を、外部委託することによって割高にするよりも、受講人数に比例するオープンセミナーを活用することによって、コストが抑えられるメリットがあるからです。
 
世知辛い今の世の中においては、オープンセミナーによってコストを抑えることを考えて頂きたいと思います。

また、内製化につきましては、「自立・自律した社員を育成する」ためには、社内研修も自立・自律することをお薦め致します。

研修会社の人間が、自分の会社の商売ネタをみすみす捨てるのかというご意見もあろうかと思いますが、他人に頼るばかりでなく、自分の会社の社員は自分たちで教育するんだという気概を持って対処することが大切です。

今まで人材育成のことを話してきましたが、「人に教えること」も人材育成の大きなプラスになりますので、人材育成の一環として研修内製化を志向して頂きたいと思います。

しかしながら、内製化までのハードルは低くないので、時間をかけて根気強く進めていく必要があります。

人材育成にかけるコストを考える

最後に、人材育成にかけるコストをどう考えるのかについて簡単に触れさせて頂いて、今回の話を締めくくります。

コスト=費用である以上、コストの増加⇒利益の減少につながります。

経済情勢が厳しい現状、できるだけコストを抑えることが求められ、研修費などの人材育成費用が削減される傾向にあります。

余裕のない現状を鑑みれば致し方ないことですが、人材育成にかけるコストについては本来、「繰延資産」という考え方をすべきであると考えています。

繰延資産とは、創業費などのコストを、将来利益につながるコストということで、資産計上して一定期間かけて償却していく資産のことです。
 
つまり、人材育成費用はコストではあるものの、人材育成によって将来会社に利益をもたらしてくれる繰延資産的なコストであるということです。

研究開発費はR&D(Research&Development)という言葉で言われますが、これを人材育成の観点に置き換えると「E&D=Education&Development」ということが言えるのではないかと思います。

翌期の研修開発費を今期の利益の数%を計上するということが行われますが、人材育成費についても同様に、利益×数%計上するという考え方をするというものです。

人材育成については、一定金額を継続的に計上していくことで、その効果が現れてくるのではないでしょうか。

継続は力なりということで、根気強く教育していくに限ります。


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