2010年9月16日

「組織のフラット化」の見直し?「若手社員の自律」と「組織力の向上」

執筆者: インソース取締役 大島浩之

「中間管理職のリストラ」と「組織のフラット化」の違いは?

リストラは本来、"組織の再構築"という意味で、後ろ向きではありません。しかし「中間管理職のリストラ」というと、人員整理的なイメージです。そう思いませんか?

そこで、これに代わり「組織のフラット化」という言葉がよく使われるようになりました。
"「トップと現場が近いので」意思決定が迅速に行われる"とプラスイメージで語られました。具体的には、30人規模のグループに課長級のリーダーが1人。係長級の階層がなくなりその下に横並びのスタッフというイメージです。

このように「中間管理職のリストラ」と「組織のフラット化」は、コインの表裏の関係です。表のデザインが人気がなく裏のデザインが好まれるコインのようです。

「組織のフラット化」の見直しが顕在化

最近、トヨタが係長職を20年ぶりに、日本銀行が課長職を6年ぶりに復帰しました。この例に象徴されるように「組織のフラット化」の見直しがされています。今度は、言葉の問題ではなく中身です。

実は、トヨタの場合、すでに2007年に組織のフラット化の見直しをはじめています。社内報で、副社長が「コミュニケーションや人材育成を基盤とした"職場力""チームワーク"は弱まりつつあるのではないか」と表明していたといわれています。係長復活にはこのような前触れがあったわけです。

「組織のフラット化」の見直しの本質

確かに、「組織のフラット化」には、それなりの効能はありそうです。経営意思の伝達が迅速化され、権限が委譲された社員が自律的に行動することで、個々の目標に対する関心が高まり、成果に対する意識の向上が期待できます。事実、期を同じくして成果主義が導入されました。

しかし、1人の課長級のリーダーがマネジメントする部下の数は多くなりました。この結果、新人や若手社員が多い職場では、適切な部下教育がままならず、部下の不満が高まってきたといわれています。 これは、若手の社員が一人立ちできないことを意味します。

反対に、ベテラン社員を中心とした組織では、個人事業者化したため、組織としての一体感が希薄になり、職場の雰囲気が悪化したともいわれています。

端的にいいますと、社員の自律と組織力向上に関して、「組織のフラット化」には大きな問題をはらんでいました。これが、最近、「組織のフラット化」の見直しがされる本質ではないかと考えます。

今後は「若手社員の自律」と「組織力の向上」がキーワードに!?

では、「組織のフラット化」の行方はどうなるでしょうか?課長や係長も肩書きが復活して、昔ながらのピラミッド化という方向にはなりません。少なくとも顧客価値の向上という観点と人材育成という観点から組織の再編がされます。

顧客価値を上げませんとお客様からそっぽをむかれ、組織として生き残りができません。となりますと、顧客価値を向上できる人材の採用・育成の重要性が増します。

その上で、どのような組織が「若手社員の自律」と「組織力の向上」にとって最適か議論になります。
おそらく、皆さんの会社では、すでに、このような検討がされているのではないでしょうか?

■公開講座?多彩なラインナップ、実践的なスキル・ノウハウを習得!

■研修・コンサルティングのお問い合わせはこちら